実技講習に使用する保護具の全般について記載します。
実技講習について
実技を行う講習においては、重量物の運搬や建設機械の操作等をともなう講習があります。
また講習という性質上、全ての受講者は初めて建設機械の操作等を行なうため、誤操作や衝突等が発生しやすい状況です。
実技講習時は保護具を装着し、ご参加ください。
なお、実技講習は現場と状況は異なります。
たとえば「玉掛け技能講習」では、必ず地上で玉掛け作業の実技講習を行います。
仮設足場の上や地下等で玉掛けの実技を行いませんので「墜落制止用器具(安全帯)」は使いません。
講習は、現場とは異なりますので、記載している保護具はその講習の実技を受講するにあたって、必要最低限必要な物を記載しています。
また最低限の機能を有している物をご準備いただくこととなります。
仕事をする際には、作業内容に応じた保護具を揃え使用することとなります。
これを踏まえて以下、実技講習に使用する保護具について記載します。
実技に使用する保護具
保護帽(産業用ヘルメット)
「保護帽」とは、労働安全衛生法第42条に規定する「保護帽の規格」に適合したものを指します。
「保護帽の規格」に適合する型式検定合格品には「労・検」ラベルが貼付られています。
なお、JIS T 8131では「産業用ヘルメット」としています。
頭部を保護するために着用いただきます。
使用する「保護帽(産業用ヘルメット)」は、玉掛け技能講習、小型移動式クレーン運転技能講習等では「飛来物・落下物」に対応した物。
高所作業車や車両系建設機械等の機械に乗り込み運転操作する講習については、乗降時の他、高所作業車においては高い所に作業者が上がるため転落・墜落する恐れがあることから、上に加えて「墜落・転落」に対応した物が望ましい。
なお、当協会では電気の取扱いに関する実技講習はありません。
実技講習で使用できないもの
・「保護帽の規格」に適合しないもの
・「労・検」ラベルの無いもの。
・「保護帽」であっても、部品が欠落や欠損等し、本来の機能を有しないもの。
・帽子や作業帽
・乗車用ヘルメット(JIS T 8133)や自転車用ヘルメット(JIS T 8134)
安全靴
安全靴とは、JIS T 8101 安全靴において、“作業時の事故によって生じる障害から着用者の足を保護するための機能を組み込んだ靴”と定義されています。
実技講習では“主として着用者のつま先を先しんによって防護し、滑り止めを備える靴”をご使用ください。
安全靴は基本構造として、先しんが入っており、また対滑試験を行った滑りにくいものとなっています。
JIS規格ではありませんが公益社団法人日本保安用品協会が定めるJSAA規格のプロテクティブスニーカーも使用可能です。
ただし、スニーカータイプの物は、屋外で実技講習を受講している際に雨が降ると靴の中に雨水が浸みこみます。
普段ご使用されている安全靴をご使用いただければ大丈夫です。
なお、当協会では電気の取扱いに関する実技講習はありません。
”釘を踏み抜く”や先端が鋭利なものを踏み抜く等の恐れのある実技講習はありません。
高温物の取扱いや冷凍庫内での実技講習もありません。
一般的な靴は“作業時の事故によって生じる障害から着用者の足を保護”することを目的に作られてはいません。
また適用される規格がほとんど無いため、滑りやすく、転倒しやすいものもあります。
墜落制止用器具(安全帯)
労働安全衛生法第42条に規定する「墜落制止用器具の規格」に適合したものを指します。
なお、旧「安全帯の規格」は廃止されていますが「安全帯」という言葉が長く使用されていたため、通称として引き続き使用されています。
「高所作業車運転技能講習」の実技講習では、高さ6.75メートルを超える高さまで上がります。
「墜落制止用器具の規格」おいて「6.75メートルを超える高さの箇所で使用する墜落制止用器具は、フルハーネス型のものでなければならない。」とされていますので、必ずフルハーネス型の墜落制止用器具をご使用いただきます。
「ロープ高所作業に係る特別教育」では、仮設の傾斜面を使用し昇り降りをします。
使用する墜落制止用器具は「傾斜面用ワークポジショニング用器具と墜落制止用器具が一体になったもの」または「「フルハーネス型墜落制止用器具」と「傾斜面用ワークポジショニング用器具」を組み合わせたもの」をご使用ください。
作業着
引っかかるなどして皮膚が切れたり、汚れる等がありますので、長袖、長ズボンでご参加ください。
作業着をお持ちでない方は、ジャージ等の動きやすい服を着用ください。
手袋
「玉掛け技能講習」及び「巻上げ機(ウインチ)運転特別教育」では、ワイヤロープ等を取扱うため、手袋を使用し手を保護してください。
革製の手袋が最も良いですが、軍手で受講されても大丈夫です。
「ロープ高所作業に係る特別教育」では、ロープを使用して昇り降りします。ロープを掴んだ状態で転倒などすると手の皮が剥けます。手袋を使用し手を保護ください。
丸のこの教育では、手袋を着用していると巻き込まれることがあるため手袋の使用は禁止です。
合図用の笛(ホイッスル)について
「玉掛け技能講習」及び「巻上げ機(ウインチ)運転特別教育」では、運転者に合図を送り、運転操作を指示します。
合図につきましては、建設業における標準合図に基づき動作と笛を併用した合図で講習を進行します。
笛はホイッスルタイプをご準備ください。
なお、リコーダやフルート等は使用できません。
「巻尺」について
「玉掛け技能講習」においては、試験項目として質量目測があります。
質量を目測する際に、その物体の体積を求める際に長さや高さなどを各々計測するため、寸法を測るために使用します。
「巻尺」は、概ね5m程度まで測れる物であれば十分です。
「巻尺」は、英語や商品名において「scale」や「convex」、「tape major」等と呼ばれ、「布や金属に目盛りをつけ、容器内に収容したものさし。」となります。