建設業労働災害防止協会 富山県支部

労働安全衛生法による資格制度について

概 要

労働災害は、不安全な状態(機械・設備)と不安全な行動(作業行動)が関連して起きるものであり、これを未然に防ぐためには、機械・設備の安全化、作業環境の改善等とともに、危険有害な業務については法定の有資格者に就かせることはもちろん、当該作業に従事する労働者に対して必要な安全衛生教育を行うことが不可欠です。

このため、労働安全衛生法において、雇入れ時及び作業内容変更時の教育、危険有害業務従事者に対する特別教育、職長教育等を行なうことを義務付けるとともに、移動式クレーン・車両系建設機械・高所作業車等の運転など、当該作業に従事する労働者のみならず周囲で働く労働者や一般公衆にまで被害の及ぶ重大な災害につながりかねない危険な業務については、法定の免許又は都道府県労働局長の許可を得た登録教習機関が実施する技能講習を修了した者でなければその業務に就かせてはならないとする就業制限業務制度を設けています。

また、一定の危険又は有害な作業を行なう場合は、十分な知識、経験を有する者に管理させることが必要であることから、法定の作業主任者技能講習を修了した者の中から作業主任者を選任し、その者に直接作業指揮や設備の適切な管理等をさせる作業主任者制度を定めています。

建設業労働災害防止協会富山県支部では、富山労働局長の登録教習機関として、玉掛け技能講習、足場の組立て等作業主任者技能講習のほか、特別教育や職長・安全衛生責任者教育等の安全衛生教育を実施しています。

作業主任者とは

法令に定める労働災害を防止するための管理を必要とする作業で、政令で定めるものについては、その作業に従事する労働者を直接指揮し、その他厚生労働省令で定める必要な業務を行なう者である。
なお、作業主任者は所定の免許又は技能講習を修了した者の中から、事業者が選任する必要があります。
また、建設工事においては元請け及び元請けから依頼を受けた専門工事業者が作業を行なうことが一般的です。作業主任者は作業を直接指揮するため、一般的には作業する専門工事業者がその請け負った作業について、作業主任者を選任し、選任された作業主任者が作業を指揮等をすることとなります。

元請より依頼を受けた専門工事業者が高さ5m以上の足場の組立て作業を行なう場合の例

 専門工事業者の事業主が「足場の組立て等作業主任者」を選任し、その者の直接指揮の下、足場の組立てを行ないます。
 また、作業主任者の指揮の下で作業を行なう労働者については「足場の組立て等の業務に係る特別教育修了者」等、所定の有資格者を配置し、その作業に従事することとなります。

関 連

法令等の検索

作業主任者を配置する必要がある作業の例

(1)作業主任者の選任が必要な作業

つり足場、張出し足場又は高さが5m以上の構造の足場の組立て、解体又は変更の作業


上記作業において作業主任者に必要な資格
「足場の組立て等作業主任者技能講習」

作業主任者の下で作業する労働者の資格
足場の組立て等作業主任者の下で「足場の組立て、解体又は変更の作業に係る業務(地上又は堅固な床上における補助作業の業務を除く。)」を行う労働者については、平成27年7月1日より足場の高さに関係なく「足場の組立て等に係る特別教育修了者」など、通達に基づいた資格取得者が作業を行なわなければなりません。

(2)作業主任者の選任が必要な作業

高さが5m以上のコンクリート造の工作物の解体又は破壊の作業


上記作業において作業主任者に必要な資格
「コンクリート造の工作物の解体等作業主任者技能講習」

作業主任者の下で作業する労働者の資格
コンクリート造の工作物の解体等作業主任者の下で「高さが5m以上のコンクリート造の工作物の解体又は破壊の作業」を行なう労働者については、労働安全衛生法上、資格を定めていません。
ただし、解体工事に伴い、車両系建設機械のブレーカ、コンクリート圧砕機等を用いて解体作業を行なう場合は、その車両系建設機械の運転者は「車両系建設機械(解体用)運転技能講習」等を修了した者に運転業務を行わせる必要があります。
なお、「車両系建設機械(解体用)」については、平成25年6月30日まではブレーカのみが対象となっていましたが、平成25年7月1日よりブレーカに加えて「コンクリート圧砕機」、「鉄骨切断機」、「解体用つかみ機」が「車両系建設機械(解体用)」に追加されました。運転資格については「車両系建設機械(解体用)運転技能講習」のページを参照してください。

危険又は有害な業務に従事する労働者は

危険又は有害な業務で法令で定められた業務には、一定の知識、技能を習得した資格者が業務に従事する必要があります。
危険又は有害な業務に従事する者は、法令により資格を定めています。
また、建設機械等の運転においては、運転する機械の能力や機体重量などで必要な資格を定め、危険又は有害な作業環境下の業務では、立入る労働者に有資格者を充てる業務とするもの等があります。

関 連

  • 就業制限(労働安全衛生法第61条)
  • 就業制限に係る業務(労働安全衛生法施行令第20条)
  • 特別教育を必要とする業務(労働安全衛生規則第36条)
  • 就業制限についての資格(労働安全衛生規則第41条)
  • 労働安全衛生規則第41条関係(別表第3)

法令等の検索

危険又は有害業務の例

「資格が必要な業務」おいて「(道路上を走行させる運転を除く。)」の記述については、労働安全衛生法上除かれていますが、別途「道路交通法」に定める自動車免許が必要です。

(1)資格が必要な業務

機体重量が3トン以上の令別表第7第1号、第2号、第3号又は第6号に掲げる機械で、動力を用い、かつ不特定の場所に自走することができるものの運転(道路上を走行させる運転を除く。)の業務

必要な資格
「車両系建設機械(整地・運搬・積込み用及び掘削用)運転技能講習」修了者など

車両系建設機械では機体重量により資格を定めており、上級の資格取得者については、下位の資格の運転業務に従事することができます。
・機体重量3t未満の機械は「小型車両系建設機械(整地・運搬・積込み用及び掘削用)運転の業務に係る特別教育」修了者など

特記事項
トラクター・ショベルとは覆帯式のもの又はタイヤ式で全四輪駆動のものをいい、いわゆるショベルローダーといわれるものは、前輪または後輪の二輪駆動のショベルローダーについては「ショベルローダー等運転技能講習」を修了した者等が就業することができます。

(2)資格が必要な業務

作業床の高さが10メートル以上の高所作業車の運転業務(道路上を走行させる業務を除く。)の業務

必要な資格
「高所作業車運転技能講習」修了者

 高所作業車では、作業床の高さにより作業資格を定めています。上級の資格取得者については、下位の資格の運転業務に従事することができます。
・作業床の高さが10m未満の高所作業車については「高所作業車の運転の業務に係る特別教育」修了者

特記事項
作業床の高さが10m以上の高所作業車を用い、10m未満の高さでしか使用しない場合であっても、高所作業車の性能が作業床を10m以上の高さにできるため、技能講習修了者が運転業務に就かなければなりません。
その他、有資格者が高所作業車の運転操作しており、運転操作者以外に同乗者がいる場合、同乗者が高所作業車の運転操作をしなければ、高所作業車の作業床に乗って塗装や点検等の作業を行えます。

(3)資格が必要な業務

つり上げ荷重が1トン以上5トン未満の移動式クレーンの運転(道路上を走行させる運転を除く。)の業務  

必要な資格
「小型移動式クレーン運転技能講習」修了者

 移動式クレーンにおいては「つり上げ荷重」により、次のとおり資格を定めており、上級の資格取得者については、下位の資格の運転業務に従事することができます。

  • つり上げ荷重5トン以上では「移動式クレーン運転士免許」(国家試験)を受けた者
  • つり上げ荷重1トン以上5トン未満では「小型移動式クレーン運転技能講習」を修了した者
  • つり上げ荷重1トン未満では「移動式クレーンの運転業務に係る特別教育」修了者

(4)資格が必要な業務

石綿障害予防規則第4条第1項各号に掲げる作業に係る業務

石綿障害予防規則第4条第1項各号に掲げる作業に係る業務について
1号 石綿が使用されている建築物、工作物又は船舶(鋼製の船舶に限る。)の解体等の作業
2号 第十条第一項の規定による石綿等の封じ込め又は囲い込みの作業

必要な資格
「石綿使用建築物等解体等業務特別教育」修了者
「石綿作業主任者技能講習」修了者が作業を行なってもよい

  • 免許取得者とは、免許試験機関が行う試験に合格し、都道府県労働局長の免許を受けた者です。
  • 技能講習修了者とは、都道府県労働局長が認可する建災防などの登録教習機関が行う技能講習を修了した者です。
  • 特別教育修了者とは、この特別教育を修了した者です。
    特別教育は法令で定められた一定のカリキュラム等に基づいて各企業において、行う教育です。企業で講師の適任者がいない場合などは、企業に代わり建災防などの安全衛生団体などが行います。
    なお、各企業で特別教育を実施した場合、実施記録の保存など、法令に基づき実施したことを保存してください。
  • 講習により受講資格などが異なります。受講資格や受講対象者の確認は「講習のご案内」ページ中の受講を希望する講習の【講習の詳細】をご確認下さい。
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