「足場に関する労働安全衛生規則の改定について」
「労働安全衛生規則の一部を改正する省令(平成27年3月5日付厚生労働省令第30号)」が公布され、平成27年7月1日より施行されています。
改正のあらまし
1.足場の組立て等の作業の墜落防止措置の充実
2.足場の組立て等の作業に特別教育が必要
3.足場の組立て等の後は注文者も点検が必要
4.足場の作業床に関する墜落防止措置を充実
5.鋼管足場(単管足場)に関する規定の見直し
詳細については、省令やリーフレットをご確認ください。
改正の要点(特別教育について)
労働者(作業員)に対する特別の教育が必要な業務に「足場の組立て、解体又は変更の作業に係る業務(地上又は堅固な床上における補助作業の業務を除く。)」が追加されたことに伴い、これらの業務に従事する労働者に対する特別教育が定められ、平成27年7月1日以降は従事する労働者には「足場の組立て等の業務に係る特別教育」を行なうことが必要となり、特別教育を修了した者等に当該業務を行なわせることとなります。
なお、組立て等を行なう足場の高さに関係なく、足場の組立て等を行なう労働者に教育を行う必要があります。
講習科目 | 時間数 | |
---|---|---|
学科 | 足場及び作業方法に関する知識 | 3時間 |
工事用設備、機械、器具、作業環境等に関する知識 | 30分 | |
労働災害の防止に関する知識 | 1時間30分 | |
関係法令 | 1時間 |
特別教育の経過措置(経過措置は終了しています)
足場の組立て等作業に係る業務については、改正省令の施行(平成27年7月1日)の際に、現に「足場の組立て、解体又は変更の作業に係る業務(地上又は堅固な床上における補助作業の業務を除く。)」に従事している労働者については、平成29年6月30日までの間は経過措置として、2年間の猶予期間が設けられていました。
猶予措置が終了しているため、当該業務に従事できる者は、下記の「特別教育の科目の省略について」中の「特別教育の科目全部について省略することができる者」に該当する者のみ従事することができます。
特別教育の科目の省略について
労働安全衛生規則第37条の規定により、特別教育の科目の全部又は一部について十分な知識及び経験を有していると認められる労働者については、当該科目についての特別教育を省略できると定められており、この規定に基づき、次のとおり特別教育を一部又は全部省略することができる者が定められています。
特別教育の科目全部について省略することができる者
(1)足場の組立て等作業主任者技能講習を修了した者。
(2)建築施工系とび科の訓練(普通職業訓練)を修了した者、居住システム系建築科又は居住システム系環境科の訓練(高度職業訓練)を修了した者等足場の組立て等作業主任者技能講習規定(昭和47年労働省告示109号)第1条各号に掲げる者。
(3)能開法に基づくとびに係る1級又は2級の技能検定に合格した者。
(4)能開法に基づくとび科の職業訓練指導員免許を受けた者。
(5)足場の組立て等の業務に係る特別教育を修了した者。
注意:略記して記載しています
特別教育の科目の一部について省略することができる者
施行日(平成27年7月1日)時点で、現に「足場の組立て、解体又は変更の作業に係る業務(地上又は堅固な床上における補助作業の業務を除く。)」に従事している労働者。
その他の事項について
足場の種類等の例
外部工事用足場 | 内部工事用足場 | 架橋工事用足場 | 木造家屋等低層工事用足場 | 補修工事用足場 | ||
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支柱足場 | 本足場 | ・わく組足場 ・くさび緊結式足場 ・単管足場 ・丸太足場 |
・低層わく組足場 | 左記各種 | ||
一側足場 | ・ブラケット一側足場 ・くさび緊結式ブラケット一側足場 ・布板一側足場 |
・ブラケット一側足場 ・くさび緊結式ブラケット一側足場 ・布板一側足場 |
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二側足場 | くさび緊結式ブラケット二側足場 | |||||
棚足場 | ・わく組足場 ・くさび緊結式足場 ・単管足場 |
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つり足場 | ・つりわく足場 ・つり棚足場 ・システム式つり足場 |
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張出し足場 | ・わく組 | |||||
その他 | ・移動式足場 ・機械式足場 |
・移動式足場 ・脚立足場 ・アルミニウム合金製可搬式作業台 ・移動式室内足場 ・高所作業台 ・機械式足場 |
足場の組立て等作業に必要な資格等
作 業 内 容 | 必要な資格 | 事業者による指名・選任 | 配置する者 | 根拠条文 | |
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技能講習 | 特別教育 | ||||
つり足場、張出足場又は高さが5m以上の構造の足場の組立て、解体、変更の作業 | ○ | 選任 (※) |
足場の組立て等作業主任者 | 安衛則565条 | |
足場の組立て、解体又は変更の作業に係る業務(地上又は堅固な床上における補助作業の業務を除く。) | ○ | 足場の組立て等の作業員 | 安衛則第36条39号 | ||
作業主任者の選任が必要のない足場の組立て、解体、変更の作業(高さが5m未満の構造の足場の組立て、解体、変更の作業) | 指名 | 作業指揮者 | 安衛則第529条 |
※「足場の組立て、解体又は変更の作業に係る業務(地上又は堅固な床上における補助作業の業務を除く。)」には、組み立てる足場の高さに関係なく、特別教育などの所定の資格を有する者が就くこととなる。
※「地上又は堅固な床上における補助作業の業務を除く。」とは、地面での掃除や資材の運搬などを指す。
※高さが5m以上の構造の足場の組立て作業は、組立て途中、5mに満たない時点においても作業主任者の選任が必要です。
年少者の就労制限
年少者労働基準規則第8条25号において「足場の組立、解体又は変更の業務(地上又は床上における補助作業の業務を除く。)」は、満18歳に満たない者を就かせてはならないとされています。
また、同条24号においては「高さが5m以上の場所で、墜落により労働者が危害を受けるおそれのあるところにおける業務」も年少者の就業制限の業務の範囲として定められています。